自然ともっと仲良くなる   植物と親しむチンキ作り 

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地球とあそぶ

春の草花にうっとりしていたのも束の間、暖かさと共に雑草があちらこちらに。

抜いても抜いても生えてくる手のつけようのない雑草ですが、中には悪者にしてしまうには勿体ない植物も。

どくだみ、ヨモギ、スギナなど、敷地や庭を占拠してしまう雑草であることは確か。

しかし、それらを生活にうまく取り入れることで、貴重な自然の産物へと変えることが出来ます。

今回はそんな植物を使った「チンキ作り」について紹介します。

チンキ

馴染みのない方には聞き慣れない単語「チンキ」。

チンキとは、ハーブや生薬をアルコールに浸け、成分を抽出した液のことをいいます。

当ブログでは、フローラルウォーター(ハーブウォーター・ハーバルウォーター)を作った時の様子を紹介していますが、フローラルウォーターは蒸気によって植物の成分を抽出させたもの。

そして今回ご紹介する「チンキ」は、植物の成分を抽出することには変わりないのですが、アルコールを使ってそれを浸出させていきます。

チンキチンキと言ってはいますが、私がそう呼び始めたのは最近のこと。それまでは「エキス」と呼んでいました。

また、チンキのことをティンクチャーともいいます。

チンキの作り方

チンキ熟練者なら、作り方も何もないだろうとよくご存知かと思います。

アルコールに植物を浸すだけ、ただそれだけです。

作り方に違いがあるとすれば、使うアルコールの種類、度数、植物の採取時期や下処理の方法くらいでしょうか。

日本でいうと、チンキの有名所は「どくだみ」と「ヨモギ」です。独特の香りで嫌悪されがちな「どくだみ」ですが、どくだみの持つ力は侮れません。また、ヨモギも昔から活用されてきた植物です。

この2種類に至っては、色んな方々がチンキ作りの記録を残してくださっており参考にしやすいでしょう。

また、西洋ハーブを使ったチンキ作りも行われており、日本では入手のしやすさからローズマリーチンキなどが人気の様です。

材料

植物
アルコール
保存用瓶
用意するもの

まず、アルコールには度数があります。

日本酒15〜16
焼酎20〜25
ホワイトリカー35
ウォッカ40
アルコール度数平均値

日本酒は15〜16、焼酎は20〜25、果実酒などを作る際のホワイトリカーは35、ウォッカの場合はもっと高いものもありますが、だいたい40となっています。

植物には水に溶けやすい水溶性のものと、脂に溶けやすい脂溶性のものがあり、アルコールはそのどちらもを溶かす力があるということです。

では度数が高ければ高いほど良いのか?というと、個人的な経験から感じることは、ウォッカの方が抽出率が良いことと、使いやすさが秀でているということです。

日本酒や焼酎はチンキにしてもそれらの香りが残ってしまいますが、ウォッカの場合はそれがありません。

しかし、身近にある日本酒や焼酎、ホワイトリカーを使用する方もいますし、逆にウォッカにこだわる方もいたり、一般家庭で作る分においては特に正解はないと思います。

昔から伝承されてきたものが民間療法だというのなら、昔の人々がわざわざ異国のお酒を手に入れていたわけでもないことは想像に難しくありません。

その土地その土地に根付いた材料や身近にあるものを用いて、自分たちで出来ることをする、それで良いと思います。

注意点

気を付けないといけないのは、「なんでもかんでも植物を浸ければ良い」わけではないということです。

先にも書いた通り「チンキとはハーブや生薬をアルコールに浸け、成分を抽出した液」です。

雑草だと思っていたものに何かしらの効果があるかも?なんて安易に使用してはいけません。植物には毒性のあるものもありますから、充分注意しましょう。

先ほど「どくだみ」と「ヨモギ」は有名所だとお伝えしましたが、そのヨモギも実は注意が必要です。

ヨモギに似た植物の中に、トリカブトという毒草があります。間違ってしまっては大変ですので、葉の形状、香りなど特徴を観察してヨモギだと確信できた場合のみ採取する様にしましょう。

半信半疑、分からない場合はむやみやたらに使用しない事です。

作る工程

植物とアルコールを用意して、保存瓶に浸けるだけ。

それだけなのですが、このあとはどうしたら?という疑問もわいてくるかもしれません。

  • 洗うの?洗わないの?
  • どの部分を使ったら良いの?
  • 干すの?干さないの?
  • 天日干し?陰干し?
  • 保管方法は?
  • 濾すの?濾さないの?
  • いつごろ使える?

これも使用するアルコールの種類同様、各家庭さまざまです。

【洗浄】

汚れや虫を落とす意味で洗う人が多いでしょう。ただし、水に溶ける性質の植物を長時間または念入りに洗うと、成分の溶け出しや植物そのものが溶けてしまう事も考えられます。お湯は使わずに水で短時間で済ませます。

【使う部分】

植物によって有用な成分がある場所は違います。丸ごと使う場合もあれば、茎を取り除いて葉や花だけ使う場合も。または皮や種を使うことも。

【生かドライか】

生のまま使うか、乾燥させて使うか。

こちらも好みであることがほとんどです。

アルコールは腐らないとはいいますが、水分や空気が入れば腐敗する可能性はあります。ドライにすれば水分量が減りますから、長期保存するにはドライの方が良い場合も。

中には乾燥させた方が成分の効果が高まる“らしい”ものもありますが、“らしい”に留まっているので、数値化されたデータがない以上どちらでも良いか、個人の経験則から決めてよいと思います。

一年目は生で作ってみて、二年目はドライで作ってみる、など自分で試しながら探っていくのも手作りの楽しみです。

【天日干しか陰干しか】

干す場合、天日干しか陰干しか?

こちらはわりとハッキリと陰干しが推奨されています。その理由として、芳香性が大きく関わっている様です。

日本の薬草「どくだみ」や「ヨモギ」を嗅いで「癒やされた」などの光景はあまり想像できませんね。特にどくだみは、香りというより【匂い・臭い】として表現される方が相応しいもです。

しかし、ラベンダーやローズマリーなど西洋ハーブは、その香り自体が心地よさをもたらします。 そのハーブを天日干ししてしまうと、太陽の熱によって香りの成分が揮発してしまうことから、干すときは陰干しでといわれています。

また、植物によっては紫外線にあたることで破壊されてしまう成分もあったり、なんて話もありますが、私が測定して確認した話ではないのでなんともいえません。

陰干しが推奨されてはいますが、天日干しにした方が一気に乾きますし、これもお好みで良いのではないでしょうか。

【保管方法】

植物を瓶に入れたら、植物が空気に触れないよう蓋のギリギリまでアルコールを注ぎます。

大きな遮光瓶はなかなか手に入らないので、透明の瓶で作り冷暗所保管、もしくは日の当たらない棚で保管している方が多いかと思います。

使うタイミングになったら、必要な分を遮光瓶のスプレーなどに移すと良いかと思います。

【濾すか濾さないか】【いつから使えるか】

こちら、よく見かけるのは1〜2ヶ月経ったころに濾して保管するというもの。私が過去作っていた時は、半年を目安にしていました。

いつから使えるか?とも関連していますが、濾したタイミングが使い始めにちょうど良い時期かと思います。

濾す作業前には下手に容器を開けない。空気や水分が入らない様に注意します。

私の失敗談の1つをご紹介します。

1本の瓶で作ったチンキ。その後、保管用と使用する用の2本に分けたのですが、使用する用のチンキが数日で黒々しく変化してしまいました。

腐敗臭はしませんでしたが、明らかに色がおかしい。表面に白く丸い膜が2つ浮いていました。

植物の乾かしが甘かったのは分かっていたので(植物元来の水分ではなく、水洗い時の水分)、それが原因か、もしくは空気が半分も入った状態だった事が原因かと思います。

中の植物は全てもう一方の瓶に移しており(保管用)、蓋のギリギリまで入っている状態。そちらは変わらず綺麗な色を保っていることから、空気が原因の可能性が高いと推測しています。

私はせっかく良い色合いが出てきた頃、まだまだ抽出が続くのではないか?と考え、なかなか濾す作業にうつれません。

また、濾す作業に用いる道具が、完全に水切りや殺菌出来ているとも限りません。アルコールを濾すのでその行為自体が殺菌にはなるかもしれませんが、すぐに開封しないならあえて濾さなくても良いのではないか?と思っていたりもします。

この黒々しくなったチンキの件以降、いざ使い始める際には小さい瓶に小分けにし、頻繁に開け締めしない工夫をしようと考えるようになりました。(黒くなったものは破棄しました)

使い方

使い方はグリセリンと混ぜて化粧水にしたり、そのまま塗布したり、数滴垂らして飲用したりなど目的に応じて使い分けます。

信頼度

あくまでも民間療法であること。ここを忘れてはいけません。

チンキに限らず販売されているものの中には、成分の調査など検証が行われているものもあります。しかし、一般家庭でつくるものに対して、そこまでする人はなかなかいないでしょう。。

そんな曖昧で明確な基準がないのが民間療法だったりします。その地域の気候や家庭によって作り方・使い方があり、正解はないのかもしれません。

昔は正しいと言われていた事が近年になり間違いだったと分かったり、その逆もしかり。ひたすらに盲信または否定するのではなく、実際に自分で行って良し悪しを判断する、何事にもそんな風に付き合っていけたらと思います。

植物がもっと身近に感じるように

植物を活用しようと考え始めると、これまで気にも留めなかったものに興味を抱くようになります。

ただの雑草だと思っていたものが、実は食べられると知ったり今回のようにチンキに出来ると分かったり。

植物の知識が増えていくと、野山を通る際の景色の見え方まで変わってきます。

私のチンキ作り

初めてチンキ作りをしたのは、もう9年も前のこと。以降パッタリと遠のいていましたが、今年から再びチンキ作りを行うことに。

当初の予定では、再チンキ作り第一弾は「ビワの葉チンキ」でした。

もらってきたこのビワの葉、ビワの真横に立っている柑橘の実が、それはそれは立派なものだったんですね。どうみても無農薬ではないだろうと思わせるものです。

「薬がかかっているであろうビワの葉を、わざわざチンキにする必要があるのか?」

張り切って下処理までしたものの、数日経ってもなかなかその葉を漬け込むことが出来ません。

結局そのモヤモヤは消えることはないだろうと判断し、ビワの葉チンキ作りは中断しました。

しかし、その後ビワの実を購入したときのこと。このビワの種でチンキを作ろうと思い、種を野菜ネットに入れて外に干しました。(ネットに入ったままもうひと月以上ぶらさがっています)

購入したビワの実が無農薬という確証もないのに、なぜそれでチンキを作ろうと思ったのか。どこまでが良くてどこまでがダメなのか、私の中の基準もこんな具合に曖昧で適当です。

手作りをするのなら無農薬に越したことはありませんし、手作りで自然派のものを作る方はそこは拘る部分ではないでしょうか。ただ、あまりこだわりすぎるのも自由度を狭めてしまうもの。

病院や薬局にいけば薬が手に入るのに、なぜわざわざチンキを作るのか?

現在はまだ「久しぶりに作るのが楽しい」その気持ちだけで行っていますが、こういったものを作る上で考えていることも追々記事にしていけたらと思っています。

まとめ

生薬やハーブなど、植物をアルコールに浸し抽出するチンキ剤。

その作り方はとてもシンプルで簡単、でありながら各家庭によりさまざま。

身近な植物を活用し、新しい植物との付き合い方を始めてみるのも良いものですよ。

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